展示作家
現代日本画展示作家
小泉智英(こいずみ ともひで)
昭和生まれの日本画家として一目置かれている小泉智英(昭和19年生まれ)が保科美術館のために伊香保の名所もみじ広場を描いた作品。
杉木立ちのやわらかな地面に密かに色づくもみじが2本、林間の静寂に華やぎを冴えわたらせています。穏やかに暮れゆく秋の情景が優しさと厳しさを秘めた作家の心情を忍ばせています。
小泉は多摩美術大学日本画家時代に教えを受けた横山操、加山又造の生き様に触れ、絵描きになることを志したといいます。
学生の頃、創画会の前身である新制作協会日本画部に出品したのを最後に、以後どの会派にも属さず地道な創作を続けています。
昭和55年の個展で大作2点が山種美術館の買上げとなり、コレクターの間で直接その力量が認められるようになりました。
墨絵、着彩、草花図、大作風景と幅広い分野で力を発揮する小泉は自らの制作態度を専門用語ではなく誰にでもわかる言葉で描きたいといっています。
佐々木曜(ささき よう)
現在日展会員として活躍中の佐々木曜(昭和16年生まれ)が保科美術館のためにと描いた超大作。
光り輝く林の中に雄大に佇む一本の真っ赤に染まる紅葉の迫力は、見る人を絵の中へ引き込みいつの間にか心に沁み込む感覚に囚われてゆきます。
佐々木は武蔵野工業大学を卒業するが、日本画に目覚め高山辰雄に師事し現在に至るも常に心温まる独特の世界を生み出し続けています。
松本 哲男(まつもと てつお)
院展の将来を担う作家のひとりとして活躍し、東北芸術工科大学学長を務めた、松本哲男(昭和18年生まれ)の代表作。
インド、スペインを取材した個展「抒情を描く」(1991年)に発表され話題を呼んだ17世紀ムガール帝国の王シャージャ・ハーンが寵妃に捧げた霊廟タージ・マハル。「世界の宝石箱」と称せられる白亜の寺院を真正面から捕らえた力強い構図が、見るものを圧倒し、この世のものとも思えぬ聖なる世界に誘い込む。みずみずしい爽快感に溢れる青空、水面に映る伽藍の静寂。
松本の心の奥底に潜む雄大なる蒼穹への憧れと悠久なるもの、聖なるものとのひたむきな対話が伝わってくるようです。